人は冒険旅行にあこがれる。冒険旅行までしなくとも、海外旅行、海外留学、海外滞在経験は見聞を広め、視野を広げ、人間としての成長に役に立つ。中には普段稼いだお金の大半を旅に費やしてしまう旅行ジャンキーもいるだろう。でもそれは、まず自分のメインの生活の場があり、帰る場所があることが前提である。自分のモード切替のために一時別世界に旅立つものだ。旅でのちょっとしたスリルや充実感、達成感が、日常生活を続ける活力となるのだ。
中川夫妻は違う。日々の生活の糧も旅先で調達する生活。そんな生活を続けて30年なのだ。アクセサリーを作って売り歩いたり、様々なことをしているという。10年以上前に美しい沙漠の写真集が印象的だったが、そこら辺からカメラの機材やフィルム代はなんとかなっているのか。今回機材も展示されていて、ペンタックスの35mmと中判の二台を使われているようだ。レンズもマクロから望遠まで使われていて、基本車移動しているとのこと。車の修理も自分でするし、車の事故で入院することもあるし、強盗にあって身ぐるみ剥がされ、証明書を外国から取り寄せるも近くの郵便局で紛失したりと、困難を数えだしたらきりがない。
今回そんな中川夫妻に会うことが出来た。基本的に今回の写真展開催中は常駐していらっしゃるとのこと(4/11まで)。私は、将来沙漠で夕景・星景写真を撮ってみたいという夢があるので、そこら辺を聞いてみた。またハワイ島マウナケア山頂4000mで砂嵐一回でカメラが壊れたのでそこら辺の話も聞いてみたかった。すると、やはりなるべくキャップを付けている事、タオルなどでカメラを覆うようにしている、季節を選べばそんなに風はない、との話を伺うことが出来た。冬は比較的空気も綺麗で砂嵐もなく、青い空のもと、沙漠写真が撮れるそうだ。ただここがポイントなのだが、別に中川夫妻は冬だけ沙漠に行くわけではなく全体の大きな流れの中でそこを訪れているので、展示物の中には真夏の60度の沙漠の写真もある。季節や場所によって色が変わる、と教えてもらった。
中川夫妻には、冒険旅行が日常なのである。今日本にいる状態が非日常なのだ。そんな中川夫妻も昔長野県の菅平に買っておいた土地にログハウスを建築中なのだそうだ。この冬はそこで過ごしたとか。まだ屋根も張ってないログハウスにブルーシートをかけて。家を造ってもアウトドアが良いのか。徹底的にアウトドア思考のご夫妻である。ちなみに、ヨーロッパのバックパッカーや冒険家でもこの人並の生活をしている人はいないらしい。例えば、車を買ってアフリカを北から南に縦断した場合、南アフリカで船に車を乗せてヨーロッパに帰る、といった感じで。
お二人は、実に人当たりの良いいい人という感じなのだが、やってきたことは完全に「突き抜けちゃって」いる。ここまで徹底してやられるとお見事というしかない。生き延びてきた知恵と達成感それにつきる。そして写真を見て直接会うと、応援したい気持ちにならずにはいられない。私に出来ることなど余りないがせめてこういう人がいるということを伝えよう。

